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2012年10月24日水曜日

宮本浩次を想う

	
 今月初めに、宮本浩次が左耳に突発性感音難聴を発症した、という知らせを発見した時は、なんだか呆然としてしまいました。バンドマンとしては職業病とでもいうのか、珍しいわけでもないようですが、歌わぬ宮本浩次というものを想像して、哀しいというか、寂しいというか、やるせないというか、……まあ、単純に落胆したわけです。
 宮本さんが話している姿を見たことのある人は、エキセントリックな話しぶりと、話の幹を逸れて主題が枝葉へと移っていく話術を御存知かもしれませんが、僕は思うのです。彼は話すだけでは足りないのだ、と。歌わなければ「話す」ことができないのだ、と。表現者はそれぞれの手段を用いて、他者に「話し」かける。己の心の奥底から相手の心の奥底へと響かせる為に。話すだけではもどかしい。伝わらない。彼らはそれぞれの手段でなければ、本当の意味で「話す」ことができない。画家は絵画で話し、映画監督は映画で話し、小説家は小説で話す。宮本浩次が歌うことで「話す」ように。
 いわゆる表現者の全てが、こういった「話せない」人たちであるとは決して思いません。話すことで「話す」ことができない一部の人びとに、僕は誠実さを見、親しみを感ずるのです。
 幸いにも耳の調子は快方に向かっているようで、十月十四日に日比谷野外音楽堂にて、一時間余りのコンサートを行ったようで、ひと安心です。外リンパ瘻という病気は、耳の状態がどれだけ回復するのかわかりませんが、宮本さんにはこれからも歌い続けてもらいたいものです。

2011年11月14日月曜日

新曲

	
 今週十六日に、新曲が出ます。約一年ぶりです。エレファントカシマシの新曲です。
 最近はコンスタントに曲を出してくれるので、ファンとしては嬉しい限りです。しかもライヴDVDが同日に発売されます。さらにCD、DVDを同時に買うと、宮本浩次モデルのストラトキャスターが一名に当たる! 世界に一本だけの、特注品のギターにはメンバーのサインが……。これはもう、買うしかない。買え。――と、エレファントカシマシの回し者でもないのに商業的な宣伝をしてしまいましたが、いや、本当に、好いのですエレファントカシマシは。
 現在、ほとんどの楽曲の作詞作曲を行っている宮本浩次は相当の読書家のようで、その詞にも文学的な表現が多くみられます。曲中に作家の名前が出ることもありますし、森鷗外で一曲書いてしまったりと、文学好きには親しみやすいかも知れません。
 生と死をみつめ、やるせなさや闇の先に信じる希望を、時に激しく時に叙情的にうたいあげる宮本浩次の歌声は、僕の心臓にあつい紅血を与えてくれます。かつて強く死を想っていた頃、『ココロに花を』を聴きながら、涙を流して、――生きよう――と思ったことがあります。エレファントカシマシは僕にとって、好きな歌手であるのみならず、命の恩人でもあるのです。
 「アーティスト」と軽々しく芸術家の仲間入りをし、恥ずかしげもなく、耳障りの良い言葉だけを並べてる奴の歌なんて聞きたくねぇよ。――そんなあなたは、エレファントカシマシを是非。

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