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2012年3月11日日曜日

一年

	
 東日本大震災から一年が経ちました。――もう一年、――まだ一年、どちらとも思える月日が経ちました。地震に伴う津波、そして原発事故。大きく鋭く深い爪痕が今も残っています。あの震災以降、防災への意識が変わった方も多いでしょう。勉強代と考えるにはあまりにも大きな代償ですが。
 首都直下型地震が遠くない未来に起こる、という予測もあります。関東での震災と言えば、一九二三年の関東大震災が思い浮かびます。震災時、芥川龍之介は自宅に居ました。妻子と共に食事をした後、震災に遭ったようです。地震が起きると芥川は妻子をほうったまま、一人で家屋をとび出したそうです。遅れて子を連れて出てきた妻にそのことを詰られると、「いざとなると人間は自分のことしか考えないものだなぁ。」と応えたとか。芥川らしいといえば芥川らしい話です。彼自身は大きな被害を受けなかったようですが、震災についていくつの文章を残しています。震災の惨状、社会的混乱、芥川は冷徹な眼でそれらを受け止めていました。
 僕は、いざとなると自分のことしか考えられない人間、の一人ですが、理性もまた幸か不幸か、持ち合わせています。あの非常事態時、人間の醜さというものを垣間見ました。助け合い、絆、と正の面ばかり強調されますが、負の部分もしっかりと見なければなりません。人間なんてろくなもんじゃねぇ、と思いながら生物としてはそれが真当なのだとも思います。

 人間としても真当でありたい。

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