手から飛び出た花に、人々は驚きと賞讃の歓声を送った。花を出した本人は、得意満面、嬉しくて仕方がならぬ。次々と両手から花は咲き乱れ、足元は花で満たされる。――しかし、哀しいかな、花は次つぎと枯れていく。 もう早や、人々の歓声など聞こえない。必死に花をそれでも出し続ける。もうどうすることもできぬのだ。止めたところで枯れた花に埋もれるだけに過ぎぬ。 ――花を、――花を。 憑かれたように、手から花を出す。誰も喜ばぬ、自らも喜ばぬ。 ――花を。 何がなんだか、わけもわからぬ。 花を――――
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